じっと見つめて待っていると、尚人は嫌そうにポツリと呟いた。
「……65.2点」
「マジで!? やった、あたしの勝ち~!」
「はぁ!? お前何点だよ?」
「知りたかったらシュートを決めてからにしてくださーい」
「……チッ、うぜー!」
顔を歪めて小さく舌打ちをされる。だけど何だかんだ言いつつ尚人はすぐさまシュートを決めてしまい、あたしは結局自分の点数を白状する羽目になった。
「ほら、教えろよ?」
「ドヤ顔うざっ! 65.4点だよ!」
「ふはっ、何だそれ! 勝ちって言うわりにはほとんど変わりねーじゃん」
「うるさいなぁ。勝ちには変わりないしいいじゃん!」
せっかく優越感に浸れたと思っていたのに、尚人のせいで台無しだ。
だけど膨れっ面で尚人を見ると未だに笑い続けているものだから、何だかムカつく気持ちも萎んでいってしまう。
……こうやってしょうもないことで笑い合えるの、尚人だけだよなぁ。
それはあたしが尚人に完全に気を許してる証拠。だけど尚人は……どうだろう。
ただの幼馴染みだから、こうやって笑い合えてんの?
聞きたいのに聞けない。
たとえ質問出来る権利があったとしても、答えを知るのが怖くて聞けるわけないんだ……。
しばらくの間、シュートを決めては質問するという流れが続いた。
お互いの口から飛び出す問いかけは、観たい映画や好きな芸能人のこととか。
些細なことばかりだけど、意外と知らないお互いの好みについて聞いた。
でもあたしは尚人に比べたらほとんどシュートが入らなくて、気が付いたらさっきから質問されているのはあたしばかり。
ムキになるほど成功率は下がっていき、体力的にも精神的にももうくたくただった。



