雲一つない青空を眺めていると、自分の心まで洗われたように思う。


『智子、それはポエムですか?』


電話越しに千晶が笑っているのが聞こえる。


「あたし、詩人になろうかなあ」

『売れないからやめときなさい』


容赦なくばっさり切る千晶に、相変わらずだなあと呟いてみた。


「そっちは? 晴れてる?」

『土砂降り。外に出れない。この雨の中授業しに来いとかふざけてるわよねー』

「教育実習お疲れ様でーす」


教員志望の千晶は今教育実習の真っ只中だ。来年には公務員試験も受けなければならないと言っていたからかなり多忙だ。


『晴れだったらまだ気持ちも楽なんだけどなあ。ほんと、雨は憂鬱』

「頑張ってよ、未来の先生」

『簡単に言っちゃって。だいたい智子は──』


その時、部屋の中からけたたましい泣き声が聞こえた。


「あ、ごめん。そーくんが泣き出したから切るね」

『あー、そうなの。教育実習終わったら今度見に行くからね』

「いつでも来てくださーい」


あたしはスマホを床に置いて、泣き声がする方へ走っていった。