抜き打ちテスト。
それは生徒が日頃どれだけ努力しているかを計るための材料。
生徒には忌み嫌われる存在。
「オワッタ……。」
げっそりとした顔でこちらに近づくなにか。
いや、誰か。
「一瑠……タスケ……テ。」
「……抜き打ちテストとは、てるちゃんもエグいことするよね。」
「エグいどころじゃないよ!!!」
推定年齢32歳。
ちなみに独身。
てるちゃんこと志水照義(しみずてるよし)先生は、なかなかサドである。
そんなことはすでにテストの応用問題とか、計算問題の引っかけ方、部分点くれないあたりで立証済みなのだが……。
今回は柚奈のこの顔を見たかっただけなんじゃないか、と思わざるを得ないくらいに
彼女の顔は悲惨だった。
「これで次の授業もテストとかだったら笑えるのにね。」
「やめてしぬ。」
「大丈夫だよ。そんなことくらいで人間死なないから。」
実は自信があったりする。
努力しているかと問われれば、していなくはないと笑顔で答えらるくらいに。
それに、なんだかんだテストの方が自由ではないだろうか。
「今から夏休み明けの定期テストが不安だよ。」
「まだ始まってもいないのに?」
顔をひきつらせた。
はあ、と溜め息をつくようにロッカーに寄りかかる。
正確にいえばただの棚。
「遊園地とか行きたいなー!」
タイミングを見計らったかのように、アキが後ろから声をかけた。
くるりと、椅子を回転させ、アキの方向く。
「あ、いいねそれ。」
友達同士で遊園地……なんて中学生らしいんだろう!
頭の中で想像してちょっとウキウキ。
「でしょー?行きたいなー4人で!!」
素直に頷く。
でも、それが9割がた実現不可能なのは、経験上分かっている。
なにかと都合が合わなかったり、金銭的な面とかで、大体は叶わない。
それでも、だとしても夢は見たい。
柚奈はあまり興味がない風で、全く関係のない方向を向いていた。
「それがだめでも、どっか遠出したいなー。」
「ああー、いいね。」
授業が始まるまで、3人で話していた。
チャイムが鳴ると、柚奈はしふしぶと席へ戻る。
もちろん続けて抜き打ちテスト……なんてことはなく、通常授業で、席の近いアキとはそれなりに話していた。
“私語厳禁”
そんな言葉、私達のクラスには無い。
というか、英語の授業には、無い。
斉藤さん曰(いわ)くこの先生には“権力がない”らしい。
そんな空気に甘えて私語を慎まない私みたいな生徒を受け持ち、さぞお疲れでしょう。
「いっちーって、意外と不真面目だよね。」
「そうだね。」
アキの言葉は当たっている。
「真面目ちゃんに見えるくせに。」
「私だって、反抗しない程度には不真面目だよ。」
「お!?……なかなか言うねぇ。」
アキも十分不真面目だと思う。
そんなことを授業中に言ってくるんだから。
それは生徒が日頃どれだけ努力しているかを計るための材料。
生徒には忌み嫌われる存在。
「オワッタ……。」
げっそりとした顔でこちらに近づくなにか。
いや、誰か。
「一瑠……タスケ……テ。」
「……抜き打ちテストとは、てるちゃんもエグいことするよね。」
「エグいどころじゃないよ!!!」
推定年齢32歳。
ちなみに独身。
てるちゃんこと志水照義(しみずてるよし)先生は、なかなかサドである。
そんなことはすでにテストの応用問題とか、計算問題の引っかけ方、部分点くれないあたりで立証済みなのだが……。
今回は柚奈のこの顔を見たかっただけなんじゃないか、と思わざるを得ないくらいに
彼女の顔は悲惨だった。
「これで次の授業もテストとかだったら笑えるのにね。」
「やめてしぬ。」
「大丈夫だよ。そんなことくらいで人間死なないから。」
実は自信があったりする。
努力しているかと問われれば、していなくはないと笑顔で答えらるくらいに。
それに、なんだかんだテストの方が自由ではないだろうか。
「今から夏休み明けの定期テストが不安だよ。」
「まだ始まってもいないのに?」
顔をひきつらせた。
はあ、と溜め息をつくようにロッカーに寄りかかる。
正確にいえばただの棚。
「遊園地とか行きたいなー!」
タイミングを見計らったかのように、アキが後ろから声をかけた。
くるりと、椅子を回転させ、アキの方向く。
「あ、いいねそれ。」
友達同士で遊園地……なんて中学生らしいんだろう!
頭の中で想像してちょっとウキウキ。
「でしょー?行きたいなー4人で!!」
素直に頷く。
でも、それが9割がた実現不可能なのは、経験上分かっている。
なにかと都合が合わなかったり、金銭的な面とかで、大体は叶わない。
それでも、だとしても夢は見たい。
柚奈はあまり興味がない風で、全く関係のない方向を向いていた。
「それがだめでも、どっか遠出したいなー。」
「ああー、いいね。」
授業が始まるまで、3人で話していた。
チャイムが鳴ると、柚奈はしふしぶと席へ戻る。
もちろん続けて抜き打ちテスト……なんてことはなく、通常授業で、席の近いアキとはそれなりに話していた。
“私語厳禁”
そんな言葉、私達のクラスには無い。
というか、英語の授業には、無い。
斉藤さん曰(いわ)くこの先生には“権力がない”らしい。
そんな空気に甘えて私語を慎まない私みたいな生徒を受け持ち、さぞお疲れでしょう。
「いっちーって、意外と不真面目だよね。」
「そうだね。」
アキの言葉は当たっている。
「真面目ちゃんに見えるくせに。」
「私だって、反抗しない程度には不真面目だよ。」
「お!?……なかなか言うねぇ。」
アキも十分不真面目だと思う。
そんなことを授業中に言ってくるんだから。



