さすがにフラれる前提だから、苦しくてぎゅっと目を瞑った。
次の瞬間。
──彼の温かい温もりに包まれた。
私はよくわからなくて、声を発せずにいた。
玲音が、ぎゅっと抱きしめる力を強める。
「やだ…後戻り出来なくなったとか、ふってくれとか…
俺が、美羽を離せるわけないじゃんか…」
その彼の声があまりに切なく震えていて、私は思わず背中に手を伸ばした。
「俺、そんなに不安にさせてたんだね。
ごめん…」
「でも、もう私のことなんて気にすることないよ。」
「え…」
「だって結城さんと付き合ってるんでしょう?」
「…………………はあ?」
玲音はばっと体を離して私の目をみた。
「勘違いしてるでしょ、美羽。」
「勘違いもなにも、今日のことは結城さんが電話をくれて…」
私がそう言うと、玲音はあ~、と納得した顔でこう言った。
「結城さんにはいろいろ相談にのってもらってたからなあ。
俺が美羽のことでよく相談したから、お節介妬いてくれたんでしょ。」
…うそでしょ…
だったら、今まで私が悩んでたあれこれは一体…
というか、恥ずかし過ぎるんですけど!!

