『だったらその気持ち、染田君に伝えれば、勝負は見えるはずですが?』 彼女なりの自信があるのだろう。 でも、いざ言った後のことを考えると、心に迷いが生じた。 それを見透かすように、結城さんは言った。 『逃げたりしたら、あなたは負けを認めることになりますけど。』 なにも言えないでいる私に、最後にこう告げた。 『今日の午後二時、光公園の時計台に来なさい。 決着を着けましょう。』 そうして切れた電話の機械的な音が、やけに私の耳に響いた。