「――――で?」

その放課後。

翔太はしっかりと部活に参加していた。

ある教室の片隅。

目の前にはティンパニ。

「何で吹奏楽なわけ?てかティンパニ志望って!!」

そう言って幸助が笑った。

翔太はしっかりとテニスコートの見える場所に椅子を置いて座っていた。

「いやぁ、なんていうか……オレもここ好きだな。って。」

テニスコートを見つめる翔太。

その表情を見て幸助は理解した。

いや、正確には初めてあった日に握手を交わした時点で。だが。


「ま、オレも男1人で肩身が狭かった所だし良いけどね。」

幸助は静かに笑う。

それを見た翔太がオブラートなどに隠さずに言い放つ。

「ねぇ幸助くんはさ……」

「幸助で良いよ。なに?」

「幸助はさ、吉川さん好きなんでしょ?」

「――――!!!!なっ、ななな何を言っているのかな?」

絵に書いた様に慌てふためく幸助。

「ははは。」

翔太は転校してきてから初めて声を出して笑った。

「……幸助とは仲良くなれそうだな。」

そう窓を見つめながら言った翔太を見る。

「オレも翔太って呼んで良い?」

「うん、勿論。」