「三浦君のこと下手に刺激してもし莉乃に何かあったらどうするの?あたしだって好未だって翔君だって莉乃と24時間ずっと一緒にいることはできないんだよ?」

「じゃあ、黙ってこのまま三浦のやってること見過ごせってこと?」

「違うよ。そうじゃない!ただあたしは……――」

「市川には悪いけど、俺はもう我慢できない。あいつに一言いってやらないと気がすまない」

翔はあたしの頭をポンッと叩き、「大丈夫だから」と安心させるように微笑んで教室から出て行く。

「あっ、翔君待って。あたしも一緒に行くよ!!じゃ、莉乃と桜はここで待ってて?あたし達が何とかするから~」

何故か慌てて立ち上がると好未も翔の後を追いかけて駆け出す。

あれ……?

心なしか楽しそうな好未に妙な違和感を感じる。

「ちょっと!!何で好未がついていくのよ!!」

確実に桜の声は好未の耳に届いているはず。

だけど、好未はその声を無視して鼻歌交じりに教室を飛び出した。