「誰かが入ってくる?昨日ホラー映画でも見たの?それに、お母さんチャイムを鳴らしてドアを叩いている間も莉乃の名前呼んだのよ?」

確かに名前を呼ばれたのには気づいていた。

だけど、その声の主がお母さんであることを確認することができないくらい混乱していた。

「ていうかさ、鍵持ってるなら最初から鍵をつかって入ってきてよ。そうすればこんな怖い思いしなくて済んだのに」

「だって、トイレにいきたかったんだもの。鍵はバッグの底にあるし、探すより莉乃に鍵を開けてもらう方が早いと思って」

「ふぅん……。でも、あたしが学校から帰ってなかったらどうするつもりだったの?」

「え?それはないわ。だって、お母さんが家に着く数秒前に、うちの玄関から誰かが出てきたから」

「え?」

誰かが……うちの玄関からでてきた……?

何それ……。嘘でしょ……?