「嘘でしょ……まさか……そんな……!」
思わず声を漏らしてしまった。
ハッとして口元を手でおさえたものの、電話の向こうからは何の反応もない。
受話音を上げてグッとスマホを耳に押し付けて、カーテンの隙間から宅配業者を見つめる。
『……――サインかハンコお願い……す。……い。ありがとう……した』
雨の音に混ざるように宅配業者の声がする。
まさか……。そんなのありえない。きっとただの偶然だ。
あれ?
その時、ふとあることに気が付いた。
慌ててテーブルの上にある赤い封筒を手に取り確認すると、それは現実のものとなった。
封筒には宛名も住所もない。
ましてや、切手を貼った形跡もない。
考えられることは一つだけ。
ストーカーはわざわざ家までやってきて、ポストにこの封筒を投函したんだ……――!!!
やっぱりそうだ。
間違いない。
今、電話の相手はあたしの家のすぐそばにいる……――!!



