恐愛同級生


いつものようにポストから手紙やチラシを取り、リビングのソファに腰かける。

すると、リビングの奥から小型犬のマロンがきゃんきゃんと嬉しそうに鳴きながら駆け寄ってきた。

残業の多い会社員のお父さんと最近パートを始めたお母さん。

学校が終わり家へ帰ると、人の気配のない家の中はシーンっと静まり返りどこか物悲しい気持ちになる。

『兄弟が欲しかったなぁ~。そうすれば、家に一人でいてもさびしくないのに』

そんなあたしのボヤキを聞いた母が、去年のあたしの誕生日にマロンをプレゼントしてくれた。


元々動物好きな両親とあたしは、マロンを本当の家族のように思い可愛がった。

「そろそろ美容院でも行こうかなぁ。ねぇ、どう思う?マロン」

「クゥゥン」

持ってきた手紙やポスティングチラシに目を向けながらポツリと漏らすとマロンがさもわかるかのように鼻を鳴らす。

「マロンはホント可愛いんだからっ!」

マロンの頭を撫でながら微笑んだ時、ふと手紙の中に混じっていた赤い封筒に気がついた。