莉乃へのメールや電話は全て島田君のスマホから送信してもらった。

彼に爪をもらい手紙も用意した。

相手が男だと思えるような文面にするのはとても苦労したけれど、
それを赤い封筒に入れて島田君に渡し、ポストに投函してもらった。

最初、島田君にはどうして五十嵐翔ではなくその彼女へこのような嫌がらせをする必要があるのか問いただされたけれど、適当に理由を作って話すと彼はすぐに納得した。

もうその時には彼はあたしの支配下にいた。

あたしが右を向けば彼も右を向く。

あたしが左を向けば彼も左を向く。

一心同体のようなもの。

言葉なんてものはもう必要なかった。