痛む腹部に手を当てると、真っ赤な鮮血が溢れ出ていた。

「くそっ……」

ナイフを引き抜かれたことで出血量が増えている。

このままだと意識を失うのもそう遠くはない。

体を丸めて痛みに耐えながら足をグッと踏ん張る。

その時、鈴森の恐怖に満ちた表情が頭に浮かんだ。

あまりの恐怖に自分を見失いかけているように見えた鈴森が心配でたまらない。

こんなことになるんだったら、もっと早く打ち明けるべきだった。

五十嵐翔の正体を……――。そして、あいつと仲の良い友達の本性を……――。