ゆっくりゆっくりと正体を現す翔。
屋上に降り立った翔の手元が太陽の光に反射してキラリと光る。
それが何であるか瞬時に気付いた三浦君はあたしの腕を掴んで、あたしを自分の背中に隠した。
「五十嵐、お前何する気だ……!!」
「……なんでこんなところに三浦がいるんだ」
「おい!!とにかくナイフを捨てろ!!」
「ねぇ、莉乃……。どうして三浦の後ろに隠れてるんだ?莉乃は俺の彼女だろ?」
「おい!!聞いてんのか……――今すぐナイフを……――!!」
「お前が、莉乃をたぶらかしたんだな!?なぁ、そうなんだろう!?あぁ!?」
激昂した翔は目を吊し上げてナイフを振り上げながらこちらへ歩み寄ってくる。
その目には明らかな殺意が浮かんでいる。



