目のふちを真っ赤に染めて鼻にしわを寄せる好未の姿はまるで獣(けもの)のようだった。
ギリギリと怒りにまかせて奥歯を噛みしめ、こちらを睨みつける。
緊張で汗が額に浮き出る。
あまりの恐怖に後ずさりしそうになる足をグッとこらえて、トイレから出るチャンスをうかがった。
「……――してやる。してやる。殺してやる。殺してやる!!」
まるでお経のように『殺してやる』と唱える好未の目はもう色を失っていた。
まるで壊れたステレオのように何度もその言葉を繰り返す。
人間はこうやって壊れていくんだと好未の姿を見てぼんやりと思った。



