「莉乃って翔君のこと何にも知らないでしょ?彼がどういう人間で、過去に何をしてきたか」

「過去……?」

「そう。中学時代の彼女のこととか~。彼の中学校名って知ってる?」

「知ってるけど……」

「平成第二中ってさ、ここから結構遠いでしょ?でも、このあたりに住んでる人は名前ぐらいは大体知ってるはず。どうしてか分かる?」

「何が言いたいの?」

回りくどい言い方をする好未はあたしの反応を明らかに楽しんでいる。

「あそこの学校が有名なのって、女子生徒が校舎から飛び降りてニュースになったから。ちなみに、その女子生徒が翔君の元カノ」

「え……?」

思わず呆然とする。

校舎から飛び降りたのが……翔の……元カノ……?

ドクンと心臓が嫌な音を立てた。