恐愛同級生


お互いに一歩も譲らず話が平行線になる。

すると、徐々に翔が苛立ち始めた。

あぐらをかいた膝の上でひとさし指でリズムを取り始めた。

始めはゆっくりだったその指のリズムはスピードを増す。

一本から二本、二本から三本……四本五本。

そして、最後には右手の拳をアスファルトの地面に叩きつけ始めた。

翔の拳から真っ赤な血が滲みだす。

「やめてよ、翔……!お願いだから……!!」

必死に止めても、翔は聞く耳を持たない。

あたしの声なんてお構いなしに翔は拳を地面に叩きつけ続ける。

「やめてほしいんだろ?それなら、市川と親友を辞めるって言えばいいんだよ。簡単なことだろう?」

みるみるうちに拳全体が赤く染まる。

「そんな……」

「ほらっ、早く言いなよ。俺だって本当はこんなことしたくないんだよ。こんなこと俺にさせてるのも、莉乃のせいなんだよ。莉乃が早く決断してくれれば俺はすぐにこんなことやめられるんだから。あー、そろそろ痛くなってきたな。莉乃、早く決めてよ」

「お願いだから……もうやめて……」

あまりの恐ろしさに涙が溢れる。

そんなあたしの見て、翔の目が怒りに染まった。

「……――ふざけるな!何でそんなに考える必要があるんだ!!!!俺と市川、大切なほうを選ぶだけなのになぜそんなに迷うんだ!」

やめて、翔。

お願いだから、もうやめてよ……――。

あまりの恐怖に膝を抱えて体を縮こまらせる。

顔を歪めながらボロボロと涙を流すあたしに翔は更に怒声を浴びせる。

「莉乃は俺の彼女だろ!?違うのか?あぁ!?何か言え!!」

「そうだよ……。だけど、友達は簡単に捨てられないよ……!」

声が震えて呼吸が苦しくなる。