桜の気持ちを思うとどうしようもなく胸が痛んだ。
翔は確かにカッコいい。
だからと言って他人の容姿を大勢の前でけなすなんて許されることではない。
相手がどんな気持ちになるのかどうしてわからないんだろう。
どうして桜を傷付けるの……。どうして!?
「……――翔、桜に謝って」
「莉乃、俺は……――」
「早く謝って!!」
「黙れ!!!俺は悪くない!!!」
「……――っ」
翔の大声に思わずびくっと震えあがる。
一瞬ひるんだあたしの手を掴むと、翔は強引にあたしの手を引っ張り歩き出した。
「痛い!痛いよ、翔!!」
ざわつく教室内。
何とか必死に手を振りほどこうとしても翔の力にはかなわない。



