「あたし……まだ気持ちの整理がついてなくて……だから……」

「分かってる。莉乃があたしを許せないその気持ち。あたしだって……――」

「えっ?なに?」

耳元に唇を寄せて何かを囁いた好未。

小声だったせいでよく聞き取れなかった。

「え?」

もう一度聞き返すと、好未はさっきよりハッキリとした声で言った。

背筋が凍りそうなほど冷たい声で。

「あたしだってアンタのこと、絶対に許さない」

―――ゼッタイニユルサナイ?

その言葉にあ然としているあたしにニコリと笑いかけると、好未はスっとあたしの体から手を離した。

そして、翔に「ごめんね。もう莉乃のこと傷付けたりしないから」と謝ると何事もなかったかのように保健室から出て行った。