「もし莉乃に余計なことを言ったら……」
「……な、なに?」
「……――お前を殺してやる」
細い好未の首を大きな手のひらでガシッと掴む翔。
翔はそのまま好未の首を締め上げた。
「えっ……?ちょっ……翔く……ん?」
5本の指の腹が徐々に好未の首に食い込む。
その横顔はあたしが知っている翔ではなかった。
いつも温厚で誰に対しても優しくて裏表のない性格の翔。
まさか翔が女の子に手を上げるなんて……。
目の前の出来事がただただ信じられない。
だけど、何故か嫌な気持ちにはならなかった。
翔は……
あたしの代わりに好未に制裁を加えてくれているんだ。
あたしができなかった代わりに
翔が……――。



