「え?」 思わず口から声が漏れた。 今までずっと黙っていた翔がクスッと笑った。 顔は笑っているのに、目が笑っていない。 こんな翔の笑みを見たのは初めてだった。 「……はは。ははははは」 好未も翔の変化に気が付いたようだ。 「か、翔君……どうしたの?何がおかしいの?」 絡めていた腕をほどき、驚いたように翔のことを見つめた好未。 次の瞬間、翔はぴたりと笑いを止め無表情になった。 そして何のためらいもなく好未の体を両手で勢いよく押しのけた。