「まさか。そんなことあるわけないよ」 勝手な妄想をした自分が急にバカらしくなってふっと笑う。 落としかけていた視線をグッと持ち上げて、保健室の扉を開けた。 立てつけの悪い保健室の扉はぎこちない音を立てる。 扉から中を覗き込む。 普段保健医の先生が座っている椅子には誰もいない。 その時、一番奥のベッドから人の声がした。 「……――きたって」 「だい……うぶ」 「……めろって」 「……いからっ」 男女がヒソヒソと小声で囁いている。 その途端、ドクンッと心臓が嫌な音を立てた。