廊下にいる人波をかき分けるように翔と好未の姿を探す。
どこにいるの……――。
どこに、どこに、どこに、どこに、どこに。
二人っきりで何をしようとしてるの。
ねぇ、好未。
まさか……本気で翔をあたしから奪おうと考えてるの?
もしそうだとしたら……
あたし……――。
「……――おい!」
その時、突然腕を掴まれて、あたしの体は自由を失った。
「……――っ!!」
見覚えのあるその顔に体中の力が一気に抜けた。
恐怖が瞬く間にあたしから抵抗する気を奪った。
「お前、なんて顔してんだよ」
「……――あっ……あっ……」
息が詰まる。
叫んで助けを呼びたいのに喉の奥に何かが詰まったかのように声にならない。
目を見開いて口をパクパクと開けるあたしを三浦君は呆れたように見つめた。



