「桜、ごめん」
居てもたってもいられなくなり、バンッと両手で机を叩いて勢いよく立ち上がると、扉に向かって駆け出す。
「ちょっと、莉乃!?」
背中にあたしを呼び止める桜の声がぶつかる。
それを無視して教室を飛び出して、翔と好未の後を追いかける。
二人を呼び止めてどうするかなんて何も考えていなかった。
でもこのまま翔と好未を二人っきりにさせるのがたまらなく嫌だった。
嫌で嫌で仕方がなかった。
今までは好未と翔が二人っきりでいたとしても何にも思わなかったのに。
彼氏と友達が二人っきりでいたとしても、何の疑いももたなかったから。
好未を……信用していたから。
友達だと思っていたから……――。



