俺は有村の首に腕を回しされ、歩いていた。
貧血の最中に歩くのは久しぶりで、意外と上手くいかない。
俺の体重が有村に乗ったり降りたりして、有村は大変そうだった。
「柴崎くん、、ほんとに歩けるの?」
「歩いてんじゃん。」
俺はそう言って、微笑んだ。有村に心配をかけさせないために。
「俺、よく貧血になるんだ。」
「わかったから、無理して喋らないで。」
「ごめん。」
「謝らないで。柴崎くんは悪くないんだから。」
「いや、俺の貧血が」
「だーれも悪くないから。」
少し強くそう言う有村。
俺は有村が頼もしいなと思いつつ、頭のクラクラが強くなりそうな事を懸念していた。


