罪線〜an imitation〜

時間は……そうだな、7時20分頃か。

昼と同じ、いつものしけたパチンコ屋に入った。

ここまで言えば大体の事は解るだろ?

あの女の事が気になっていたんだ。

昼間に譲った台は随分出た様だ。大当り回数が相当伸びてた。

素直に良かったと思ったよ。俺だってやっぱ人間だし、隣にいた困ってる奴が救われれば、当然ホッとする。

安心したところで、俺は店内をブラブラし始めた。

まぁ、その時は女を捜すというより、手頃な台を探してるって感じだ。

……が、あの女はまだそこにいたんだ。探そうとしなくても目に入って来たよ。

そりゃ、狭い通路いっぱいにドル箱ギッシリ置いてればな。

昼に見た、今にも崩れ落ちそうな人間とは別人だったよ。

目なんかキラキラしちゃってさ。

本当はその時、声でも掛けてやろうかと思ったんだけどな。それが出来なかった。

……何でかって?

そりゃ出来ねぇだろ。恩着せがましい感じがしてよ。

俺はそういうのは嫌いなんだ。

……とまぁ、そんなこんなで、俺は自分の座る台を選び始めた。