いや、白い布を顔まで被せられた人間が、椅子に縛られていたと言う方が正しいのか。

それを見ると、急に動悸が速くなる。


「……なんで白なんだ?」


「僕は黒でいたい。でも、他人は何色にでも染まる白で居て欲しいんだ。ワガママだよね?でも、皆本心を語ればそうじゃない?僕は、ワガママな以上に、素直なんだ」


素直か。ではここに入った以上、俺も……


「俺も白か?」


「いや、キミは黒でいい」


「何故?」


「僕はキミを嫌いじゃ無い。……それは理由にならないかな?」


それまで理屈っぽかった平岡から、無邪気な心が覗ける。


「いや、理屈には適わないけど、理由にはなるね。アンタらしいよ」


「ありがとう」