「大……悪人……」


「あぁ、変な言い回しかもしれないけどね。ただそれも"今は"というだけの話しさ」


今は……どういう事だ?



「すまない、ケンジ君。また謎が増えてしまった様だね」


そう言うと、少し大きめな洋風の家を指差し、更に続けた。


「……あそこに全てが詰まっている。あそこから、キミの新しい世界が始まる。さぁ、行こう」


無言で頷きはしたが、流石に怖かった。

今まで、スリルや理想を求めて平岡の隣に着いて来たが、ここに来て俺の心の中を、真っ黒な恐怖が支配する。


「ケンジ君。今なら家に戻れるよ?」


と、平岡。

そんなつもりはないクセに。

……大丈夫。真っ黒な心の中に、米一粒程の好奇心が残っている。


「大丈夫の様だね。さぁ、開けるよ」


平岡がドアノブに手を掛け、扉を開く。


その先に見えた物は……