優しく人を宥めるような、それでいて感情の無い冷めた声が俺を呼ぶ。


「キミ、ゲーム強いね」


先程格闘ゲームで対戦した相手だった。

負けた鬱憤を晴らしに来たのだろうか?

始めはそう思っていたが、どうやらそうではないらしい。

高ぶってない。

荒ぶってない。

すると男は、同じく眈眈とした口調で、こう続けた。


「僕はねぇ、この道が好きなんだ……キミは嫌いかい?」


普通、初対面の人間にこんな質問をする者はいない。


不審……不安……有り余る物がある。
が、ココロと身体が逆の動きをする。


「あぁ、好きだね」


まるで、口が勝手に動いている様な感覚だった。

俺は他人と同調する事が大嫌いだ。

そんな俺の口からこんな言葉が出るなんて……。