1ラウンド目が完璧な物であれば2ラウンド目も同様……いや、むしろ精神状態が乱れたままのプレイとなった2ラウンド目の方が、よりスムーズなゲーム展開だっただろうか。

ある程度予想はついていたが、余りに呆気ない幕切れに、脱力感を感じ、溜息が出る。


「……はぁ……」

この先、ゲームを続ける権利は俺にある。

が、人間以上に弱いコンピュータが相手では、やる気が全く起きない。

未だに続いているゲームを残し、俺はその場を離れる事にした。


「暇つぶしにはなったけど……つまらなかった」


時計はいつの間にか、夜の八時半を回っていた。


ゲーセンから15分程歩いた場所にある、街灯もなく、細くて長い夜道。


ここは昔から通り魔や痴漢、引ったくりなどが多く治安が悪い事で有名だが、俺はこの道を決して嫌いではない。


静けさ、物寂しさが、俺の心を癒してくれるんだ。


と、その時、後から俺を呼び止める声が聞こえた。


「……ねぇ、キミ……」


……?