――「ねぇ、ケンジ聞いてる?」


俺の名を呼ぶ彼女……ミカの声は相変わらず五月蝿い。


「わりぃ、聞いてなかった。何?」


「もう!……また小学生が行方不明になったんだって!なんか最近変じゃない?」


変……何が起こってもおかしくないこのご時世だ。ハードルが上がりすぎて、"通常"と"変"の境目なんて俺には正直解らない。


「そうだな。変だな」


「ケンジ、全然興味なさそう!」


無さそう?無いんだ。


皆無だね。


「ちょっとトイレ」


俺は逃げ出す様に教室を出た。