俺達二人はその後、これから炎に包まれるであろう館を後にして、張り込みを続けていた警察の元へと向かった。

いつもなら押し戻される所だが、俺達二人の表情や、にわかにボヤが見える館を見て気付いたのだろう。


「すまなかったな」


とだけ言って、俺達二人を優しく保護した。


終わった……終わりのない様に思えた物語の終焉を、迎える事が出来たのだ。

世の中の悪事、全てを凝縮した様な地獄の日々だったが、皮肉にも、そこから得る物は、俺の人生の中で最も多かったと言える。

隣を歩くミカの手を握れる程、俺は気の聞いた奴じゃないが、彼女に対して小さく笑顔を見せた。

決して満面の笑みとは言えないが、作り笑いでもない。

自然に出て来たこの笑顔が本心であり、俺なのだ。

こうやって、少しずつでも、本当の俺を彼女に見せて行けたらと思う。



それが、彼女に向ける感謝の気持ちだから……。