「ケンジ……なんか焦げ臭い……」


「……ホントだ……」


臭いの元を辿ってみると、どうやら平岡の部屋から煙が上がっている様だ。


「ミカ、行くぞ」


「え?あの人は?!」


と言って、柴田がいる部屋を指差す。

ミカは何も知らないだろうが、全てを聞き及んでいる俺には、彼等の邪魔をする事は出来ない。

と言うより、誰が説得に向かっても、彼がそれを聞き入れる事はないだろう。


「いいんだ。行こう。時間がない」


「そう……ホントにいいの?」


「あぁ、いいんだ」