俺が持っていた命のスイッチを、平岡が勝手に奪い、それを押した。

その瞬間、今までミカが俺に無理矢理押し付けて来た様な思い出が、走馬灯の様に脳裏を巡る。

俺がどんなに突き放しても、純粋に俺だけを求めてきたミカ。

俺がどんなに冷たくしても、優しく接してくれたミカ。

ミカ……ミカ……ミカ……。


「……ミカ!」


俺は迷いも無くミカの元へと駆け出した。

しかし、俺とミカ、コウタとミカの間には、かなりの差がある。

恐らく間に合わないだろう。

が、今の俺には、そんな事は関係なかった。

ここで何もしなかったら、一生後悔するような気がしたのだ。