「そ、そうか。別にいいんじゃねぇ?関係ねぇし」

その時は流石に声が震えたよ。

だってそうだろ?

自分の想ってる女が、平岡に捕まったってんだ。

どこぞの中途半端なチンピラなんかじゃない。

平岡だ。

異常に速まる鼓動、それをすぐに感じ取ったんだろうな。さっきまでニヤ付いていたクセに、平岡が真面目な顔して、こんな事を言いやがった。


「もし……もしもだよ?その捕えた女が、今この家外で死にそうになってたらどうする?柴田くんには別に関係ないよねぇ?」


……揺さぶりだろう。

……揺さぶりに決まってる。が、不安な気持ちを抑えられなくなった俺は、外に向かって走り出した。