街灯も無く、細くて薄暗い夜道。

十にも満たない程幼い少年は、そこにしゃがみ込んでいた。

いくら呼び掛けても、返ってくる言葉はない。


「何かあったのかい?」


返事はない。


「家に帰らないのかい?」


返事はない。


「心が痛いのかい?」


「…………」


その質問にも返事はなかったが、長い瞬きを一つだけした。


「一緒に来るかい?」


「…………うん」


初めて答えたその言葉を聞き、僕は彼を


飼い始めた。