物語られない私の物語






ドンッ!



廊下の角で、誰かにぶつかる。

正直、周りを見ている余裕、今はなかった。


思い切り、全体重を預けるような勢いで飛び込んだにも関わらず、その人はしっかりと、私の体を受け止めている。



恥ずかしい・・・・



一刻も早く、教室に戻らなきゃ・・・




「よく、頑張りました」



ん?この声は・・・

みっともない顔のまま、見上げてみると、やっぱり・・・吉澤くんだ・・・


私を胸に抱き寄せたまま、服の袖で涙に濡れる私の頬を拭う。



「うっ・・・うぇっ・・・」



その優しくて暖かい笑顔を見ていたら、余計に涙が溢れてきた。