なんで来たの?
その子とは小学校は違って、中学生になってから同じ部活だったことをきっかけに少し話した程度だった。
「幸子さんだから……さあさんって呼びますね!」
私は今まであだ名で呼ばれたことがなかった。
今まで幸子ちゃん。○○(名字)さん。ただそれだけ。
その時、妙に嬉しかったのを覚えている。
なにやら祖母と話すと、車は帰って行った。
「なに持ってきたの?」
姉が祖母に聞くと祖母は私に持っていたものを渡した。
それはキャラクターのストラップだった。
「これって……修学旅行先で買ったやつ?」
「よかったじゃん」
修学旅行から帰ってからすぐここに寄ったのか?
馬鹿じゃん。わざわざ私にストラップを買ってくるなんて。