この運命を奇跡と呼ぶならば。


やはり、肝心なことだけは言おうとせず土方がため息をついた時だった。部屋の襖がすっと開かれて、二人がほとんど同時にそちらを向くと穏やかな笑みを浮かべた近藤が立っていた。

「近藤さん、どうしたんだ。」

「歳、ここは俺に任せてくれないか。」

近藤が土方の肩に手を置くと土方は一言頼む、と残し部屋を出て行った。

「私、「桜くん。」」

何か言いかけた桜を遮り近藤は床に座ると桜をとなりに呼んだ。沈黙が続いたが近藤が唐突に沈黙をやぶった。


「桜くん、歳はすごいだろう。俺は歳に任せっきりで頼りっぱなしで…」

一体何を言い出すのだろうかと、否定をしようかと口を開きかけたが近藤の顔を見ると言葉を飲み込みもう一度、黙って耳を傾け始めた。

「俺は歳とずっと一緒に居たからわかるんだ。俺を上にあげよう、俺のために。言わなくてもそう思ってるのがわかる。あの子は人一倍、優しくて繊細だ。」