この運命を奇跡と呼ぶならば。


「どうしたの?…というか、手を放して。痛いわ。」

「あ、あぁ。悪い。」

「そんなこと思ってないくせに。」

腕の主は土方で、思いのほか手に力が入っていたようで桜が顔をしかめて言うとパッと手を放した。そして、桜の小さな文句にため息だけを吐いた。

「で、どうしたの?」

「…斎藤から、御陵衛士についての情報が入ってきた。」

腰に手を当てて土方に問えば、土方は声を潜め小声で言った。
そして、桜は思った。遂に、油小路事件が始まるのだと。

「そう。動きだしたのね。」

「それでなんだが。斎藤をそろそろ、こちらへ戻そうと思う。」

「へぇ。一、帰って来るのね。」

なんだか思っていたよりも反応が薄く、こちらに顔を向けない桜に土方は眉間に皺をよせ桜に訊ねた。

「…お前、なにか隠してるだろ。」

「別に。」

「そんなことねぇだろ。隠してるだろうが、なんだ?言え。」