「…ゴホッ。ゴホッ、ゴホッ…」


「大丈夫ですか!?」


桜の言葉に食べていた雑炊を喉に詰まらせ、咳き込むと桜がすかさず、山南さんの背中を摩る。

「いいんですか、力を使うと代償が…」


「えぇ。例え代償があっても、山南さんが苦しんでる姿を私は、私達は見たくないんです。私の受ける肉体的苦痛よりも、山南さんの受ける精神的苦痛の方が何よりも辛い。」


「…本当に?」


少し迷った様な山南さんの声に桜は力強く頷く。


「では…お願い、します…」


「わかりました。でも、少しずつ。毎日、ちょっとずつ癒します。…私、伊東のことは信用してないですから。あの人に力のことがバレれば、利用されるに決まってる。」


山南さんは桜の言葉に眉を寄せるも頭を下げて言った。


「よろしくお願いします。」


「さ、山南さん顔をあげて下さい。私が好きでやってるので!」

桜が慌てて山南さんに顔を上げさせると、小さく呟いた。


「…だから、脱走なんてしないでくださいね。」