先生が病室から出ていってから私は棚を開けた
そこから便箋と折り紙…そして捨てられなかった婚姻届を取り出した
折り紙で出来るだけ丁寧に鶴をおっていく
ただ、力の入らない手がカタカタと震えてうまくおれない
あぁ…私のお迎えはそろそろだなぁ
漠然とそう思った
千羽鶴を作っていた
翔真のために…
サッカーをしている翔真はエースとして最後の試合に望む
これは…最後の1羽
もう要らないけど…ね…
明日…翔真の最後の試合…見に行きたかったなぁ
そして震える手で最初で最後の翔真への手紙を書いた
私の最後の愛を込めて…

