城内の混乱の中、その部屋は緊迫した空気に満ちていた。
城の奥深く、薄暗い小さな部屋。
「どうか姫さまもご一緒に…」
「逃げましょう、早く…!」
口々に言う人びとの中心で、蜂蜜色の髪の少女は優雅に微笑んで首を振った。
「わたしは最後の王族として、ここに残ろう」
凛とした声が部屋に響く。
彼女の名はユリア。
崩れ去ろうとしている王国の美しく聡明な王女だった。
「そんな……」
「…納得できません…」
縋ろうとする人びとを、彼女は気然と見返す。
翡翠色の瞳が強く輝く。
「お前たちは生き延びろ」
王の悪政が続く中、ここ数年の不況で人びとの心はますます王家から離れていた。
王は周囲の発言にも聞く耳を持たず、国内は荒れる一方だった。
城の奥深く、薄暗い小さな部屋。
「どうか姫さまもご一緒に…」
「逃げましょう、早く…!」
口々に言う人びとの中心で、蜂蜜色の髪の少女は優雅に微笑んで首を振った。
「わたしは最後の王族として、ここに残ろう」
凛とした声が部屋に響く。
彼女の名はユリア。
崩れ去ろうとしている王国の美しく聡明な王女だった。
「そんな……」
「…納得できません…」
縋ろうとする人びとを、彼女は気然と見返す。
翡翠色の瞳が強く輝く。
「お前たちは生き延びろ」
王の悪政が続く中、ここ数年の不況で人びとの心はますます王家から離れていた。
王は周囲の発言にも聞く耳を持たず、国内は荒れる一方だった。