君のイナイ季節

帰りに立ち寄った道の駅で。

「あの…」

私達は声のする方を振り返った。

「柏原拓海くんだよね?」

同じくバイクのツーリングで何人かで来ていたグループに声をかけられた。

「そうですけど…?」

その人達は顔を見合わせて笑って、

「俺達、君のファンで!!」

そこからはもう、異様に盛り上がっていた。

でも、拓海くんの対応が驚くほどテンポよく、これまた普段とは違う表情を見る事が出来て楽しかった。

普段、学校では見る事のない様子。

この前のサーキットでも色んな人に触れ合う時はこんな感じだった。

「じゃ、俺達はお先に。気をつけて帰ってね!!」

その人達は拓海くんのサインを個々に貰って帰って行った。

この間30分。

西の空はオレンジに輝いて日没が近付いていた。