君のイナイ季節

なんで!

「後ろ向くの〜?」

私は拓海くんの前に行って顔を覗き込もうとすると。

今度は逆を向かれた。

「拓海くん?」

拓海くんは黙ったまま。

…ちょっとムカッ。

「拓海くん!!」

もう一度、前に行ってみる。

チロッ。

目だけを動かして顔を見てみると…

顔が赤くなっていて。

拓海くんも目だけをこちらに向けた。

「真由ちゃんに、ストレートに言われると何だか恥ずかしくなる」

私は首を傾げた。

「ドキドキして、たまらなくなるんだ」

ちょっと照れながら拓海くんは髪をかき上げた。

そんな仕草をされると。

「私もドキドキが止まらなくなるじゃない」

思わず。

拓海くんの腰をパシッと平手で叩いてしまった。

急に照れが…