そのまましばらく見つめ合う。



言葉なんて何も出て来なかった。



どうしよう、目を逸らすことさえ出来ない。


その目。

思わず見つめてしまう。



やがて、校内放送のアナウンスが流れ、ようやく私達は目を逸らした。


ますますドキドキが止まらない。

膝の上で組んだ掌がかすかに震えていた。

「じゃあ、もう一個、貰うよ」

目を逸らしてから拓海くんは私の手から取っていった。

「うん、どうぞ」

声が震える。

拓海くんを意識しすぎて、震えが止まらない。

やがて。

「ごちそうさま」

と言う声が聞こえた。



そして、くるり、と拓海くんは私の方を向いた。