私は途中から目を閉じて祈った。

どうか拓海くんがこのまま1位で行けます様に。


「おお!」

目を開けるとモニターを見ていたパパが笑って

「優勝したよ!」

私は飛び上がって喜んだ。



ゴールした拓海くんはゆっくりとコーナーに差し掛かって、ヘルメットのシールドを上げてこちらを見た。

左手を上げてガッツポーズ。

そして手を振ってくれた。


私もパパも手を振る。


こんな幸せな感じは初めてだった。


レースの高揚感と終わった充実感。

なんともいえない雰囲気が私を包んだ。

拓海くんがこちらを見て手を振ってくれた事も嬉しかった。


「さ、表彰式を見に行こう」

パパが私の肩をポン、と叩いた。

あああ、なんか凄く良い気持ちだったのに元に戻された気分。