タクトはこんな風に酔い潰れては帰っていくのか、とそれを半分面白く見ていると、頭にポンと手を置かれた。

急のことで顔を上げると、ミカミが何度かポンポンと叩いてくる。


「…?」

「いえ、楽しそうだったので」


心底嬉しそうに笑う。意味が分からない。

いや、あたしに天才の考えることが解るわけがない。

最近はそう言う風に考えることも多くなった。多くなっただけで、たまに苛っとすることもある。多々ある。


「じゃあお邪魔しましたー、クラギちゃんバイバイ」


ひらりひらりと振られる手を振り返す義理も無い。愛想が無いのは昔から。