ちゃんとランドセルは抜けた。 いつもの時間に小学生を駅まで見送る。何故か一緒にミカミもついてきた。 「願い叶ったね」 あたしの耳を引き寄せて囁く小学生。 「確かに」 「嬉しくないの?」 「嬉しいよ」 向こうの入り口まで送っていく。夜の中に黒いランドセルが見えなくなる。 「…彼とは、血縁関係?」 「いや、赤の他人」 ミカミの言葉を否定する。 夜風が冷たい。 手をポケットの中に入れようとしたら、急に掴まれた。