黒いマフラーに顎を埋めて寒さを凌ぐその小学生の手を引っ張る。やはり冷たい。
座っていたのを無理矢理立たせて、そのまま引っ張っていく。
「え、にゃ、なに?」
にゃって。
「卯月、今日もいつもの時間まで家帰らなくて良い?」
「そうだけど…」
「ちょっと来て」
ぐいぐいと引っ張る。少し、小学生の脚がどのくらいに感じたのかは分からないけれど、兎に角着いた。
エレベーターに乗って部屋の階で降りる。
鍵の開いているであろう扉を開くと、玄関にミカミが居た。
「おかえり」
そして小学生を視界に捉える。
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