あたしもタチバナも黙っているのに、話し続けるおかーさん。


「そんなに車欲しいなら運転免許取ってからにしろっつーの」

「あ、間違えた」


おかーさん。ではなく、トーガ。


「あ? なんか言った?」

「何も」

「つかクラギちゃん、彼氏いねーの?」

「いねーよ」


即答するとやっと静かになった。

タチバナは明後日の方向を見ている。そこの男はお前のオトモダチじゃないんですか。

マンションの扉の前まで来て、二人は立ち止まる。

鍵を使って開けると、続けて二人も入ってくる。